経営事項審査について
わが国では、建設業法で「建設業者」と「建設業を営む者」を明確に区分しています。「建設業者」とは、建設業の許可(建設業法第3条)を取得して営業を行っている「者」のことを言います。
しかし、ダムの建設工事など大規模な工事から建物などの修繕工事のような少額の工事までを対象とした公共性のある建設工事を発注する際の選定基準については、許可制度だけではその役目は不足しています。工事の規模に応じて、あるいは工事の難度に応じてそれに適合する業者を選定することは容易なことではありません。
そこで、発注者による業者を選定する際の補完制度として建設業法で制度化されたものが、「経審=経営事項審査制度」でした。昭和36年5月に誕生しました。
その後幾多の改正を経て、平成5年12月中建審による「公共工事に関する入札・契約制度の改革について」に基づき、平成6年の法改正より義務付けとなり、現在に至っています。
公共性のある施設や工作物の建設工事を、発注者から直接請け負おうとする場合、建設業法第27条の23により定められた経営に関する客観的事項について審査を受けなければならないこととなっています。それは建設工事を請負う業者のいわゆるランク付けに主として利用されています。
・国、地方公共団体
・建設業法施行令27条の13を参照してください。
・建設業の許可が知事許可の場合該当する都道府 県知事
・大臣許可の場合本店のある地方整備局
・通常事業年度が終了した日より5か月以内が一応の目安でしょう。
・ただし、その企業にとって最初の経審であったり、企業再編等による特殊な経審の場合はいつでも申請ができます。
・経審の結果通知書(総合評定値の通知書)は、有効期間が定められており、それは決算期より一年と7ヵ月です。有効期間を過ぎると入札に参加できなかったり、落札しても契約ができなかったりすることとなります。
審査内容は次のとおりです。
@ 経営規模(X1、X2)
・X1=工事種類別年間平均完成工事高
・X2=自己資本、平均利益額
A 経営状況(Y)
・Y=経営状況分析
B 技術力(Z)
・Z=建設業の種類別職員数
=工事種類別年間平均元請完成工事高
C その他の審査項目(W)
・労働福祉の状況
・営業年数
・防災協定の締結の有無
・法令順守の状況
・建設業の経理の状況
・研究開発の状況
・建設機械の保有台数
・ISO9001、14001の取得の有無
・若年技術職員の継続的な育成及び確保
・新規若年技術職員の育成及び確保
D総合評定値(P)=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W