社長のための建設業経営ゼミ (経審編)


日頃、経営事項審査(以下経審という。)関係の業務に携わり経営者とお話をすることが多い中、経審について様々な相談を受けます。そのほとんどが評価についてです。そこで経審の審査内容に着目し、これからお伝えすることが経営の一助になればればとの思いから、WEB上でのセミナーの開催を思いつき、試行してみることに至りました。
 是非お立ち寄り頂き、ご意見等お聞かせ頂ければ幸甚です。

A それでは、はじめに経審の大枠についてです。

1.経営事項審査は、昭和36年に入札に参加する建設業者を評価するために設けられた制度です。全国の公共発注者が事業規模に応じた適正な発注を行うために、入札参加業者をそれぞれに評価していたものを、財務評価等基本的な基準を設け、出来るだけ統一した制度として国が関わったことが発端です。

 過去幾度となく改正が行われました。平成6年の法改正では公共事業の元請をするには受審が義務化されました。最近の改正では平成24年に改正がなされ現在に至っています。

2.経営事項審査制度は、公共工事の元請を希望する建設業者は、建設業法第27条第23項で経営事項審査を受審することが義務づけられ、毎年受けなければならないことになっています。
 「結果通知書」の有効期間は、審査基準日より19か月です。もし切れたらどうなるのでしょうか?その後の公共事業の入札に参加できなくなります。仮に落札しても契約ができないこととなりますので適切な継続が必要となります。

3.経営事項審査結果通知書は、受審者の経営内容が一目で判る、また他者と比較が容易で、「優れた通知表」といえます。

4.その審査の体系は大きく分けると経営規模に関する審査と経営(財務)状況に関わる審査のの2つに分けられます。

5.経審における審査項目には、その時々の社会事情が反映されていることがあり、改正により審査の結果に大きな影響を及ぼすことがあります。
 例えば、現行経審の前は固定資産を無駄に持つことが評価されなかったのですが(経営状況分析においてはマイナスに働きます。)、現在は建設機械などを適正に所有(保有)することが評価につながっています。

 ただしそれは災害時に活躍が期待できる一部建設機械の保有台数を評価の対象とする仕組みが採用されています。

 経営状況における評価についても同様のことが起こっています。それは経営状況分析を行う際に使用する財務諸表の科目の扱いに大きく依存するためです。

 例えば、以前用いられていた分析指標で流動比率という決算期における流動資金の余裕度を測る指標が存在していましたが、今はありません。