社長のための建設業経営ゼミ (経審編)2


B 経審制度を理解していただいたところで内容を見ていきましう。

 「経営事項審査結果通知書(総合評定値通知書)を読み解く」総合評定値通知書記載例

 経営事項審査の結果通知書は意外と読みづらいのか、質問を受けることが度々あります。質問の大方は成績(評点)についてであることが大半です。つまり、何点であるかという点です。注目されるのは当然で、この評点こそが目指す発注者の名簿登録の際の格付けに大きな影響を及ぼすからです。

  それでは順番に追っていくこととします。

  ポイント

1)会社名を知る。ついでに所在地の確認も。  
                             
2)許可について知る。「大臣許可」か「知事許可」か(右上)

3)審査基準日を知る。(右上)

4)その下の欄で「資本金額」と売上高に占める完成工事高の割合を知る。

 ここまでで判ることは、
 
法人事業か個人事業か
資本金の額は
建設業への依存度
大臣許可と知事許可の別

   
 これだけのことで少なくとも会社の規模が大きいか小さいか又、会社の営業エリアが想定できます。つまり、県内営業だけか県外営業も行っているかを知ることができます。

 そして更に読み込んでいく。

5)左端に土木一式をはじめ28の許可業種が縦に並んでいます。その直ぐ右隣の数  字が注目される総合評定値Pです。当然業種ごとに評価されることになります。その右へ追っていくと平均完成工事高が載っ ています。そしてその右に平均完成工事高を評価した評点X1が記載されていることが分かります。

6)更にその右には元請完成工事高の数値が並び、元請力が評価されています。しかし、良く見ると枠が完成工事高ではなく技術力を評価するところに属していますのでその評価の仕方に注意が必要です。

7)ではその注意を要する項目、「元請完 成工事高及び技術職員数」を評価した項目を見ていきます。
             ↓
 元請完工高に続き技術職員数がその後に続きます。
             ↓
 技術職員数ついては、1級、 2級及びその他(技能者及び実務経験者) の数をそれぞれ加重することで数値化し評価しています。
             ↓
 これは、技術職員数に元請完工高を加味して下請との差を評価に表しています。評点Zです。

 ここまで見てくるとその企業の業務についての実状がつかめてきます。

許可業種と完成工事高の関係から、主要な業種は何なのか?土木系なのか建築系なのか、設備系なのか専門 工事業が得意なのかが判ります。そ の企業の業界での立ち位置が想像で きます。
関心の高い完成工事高からその企業の営業力が読み取れます。
元請完工高の割合と1級技術者の在  籍状況は、その企業の工事施工(監理)能力を測る上で重要な情報を提供してくれています。
完成工事高と技術者数からその企業の経営規模が読み取れます。
完成工事高と技術者数は相関関係にあるはずで、それぞれの数値の信憑性についてその数値によっては推 し量ることができます。
総合評定値Pこそ一般的に言われている点数のことです。